■作品名 源氏物語愛の渇き ---お花5個が満点---
■ジャンル 雑学 [読みやすさ]
[ 専門度 ]


■著者 大塚ひかり
■出版社 KKベストセラーズ
■書籍コード 4584191069
■初版 1994年2月5日
■備考
■□■ 感想 ■□■
 この本は源氏物語に登場する主要な女性を1人1人ピックアップし、彼女たちは浮気されても虐めにあっても「なぜ男を責めずに耐えるのか?」をテーマに、平安時代の社会的環境、歴史的事情などを交えて紹介しています。
 そもそも「耐える女」が柱になっている本なので、源氏物語を知らない人がいきなり本書を手にすると、『源氏物語って暗くて非観的。しかも女性が虐げられてる酷い話しなのね』と感じるかもしれません。確かに源氏物語で主人公にもっとも近い存在の女性は「身代わり」の上に成り立っているケースが多く見られます。藤壷女御(ふじつぼのにょうご)は桐壺更衣(きりつぼのこうい)の身代わりですし、紫の上(むらさきのうえ)は藤壷女御の、浮船(うきふね)は大君(おおいきみ)の身代わりを前提として主人公に愛されます。本書の中でも、著者は『平安時代の女流文学で、源氏ほど男性原理に影響された文学もない」と語っています。
 では、何故、女性の紫式部は、こんなにも女性が非観的な話を書いたのか?
 この疑問こそ、本書の根底を支える著者の疑問点であり、その答えは、最終章で紹介されているので、興味がある方は本書を手に取ってみて下さいね。
 全体を通し、中身は単に「雑学」というのではなく、著者の意見などを交えた随筆に近い仕上がりになっているので、読書習慣がない人でも読みやすいと思います。文体は大塚ひかりさんの大塚節が炸裂しており、まるで井戸端会議に参加した人へ向けて、源氏物語に詳しい友人が己の持論を披露しているような雰囲気になっているのが特徴。私は大塚さんの砕けた文体が気に入っていますが、極真面目に原典を楽しみたい方には向かないかも。




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