| ■著者 |
瀬戸内寂聴 |
| ■出版社 |
講談社+α文庫 |
| ■書籍コード |
4-06-256001-1 |
| ■初版 |
1993年9月17日 |
| ■備考 |
対談型随筆 |
|
|
|
| ■□■ 感想 ■□■ |
本書は雑誌「MINE」にて連載されていた瀬戸内寂聴さんとその時々のゲストの対談を文庫化したものである。
対談のテーマはタイトルと同様「源氏に愛された女」になっているが、「桐壺の更衣」「藤壷」「空蝉」「夕顔」「葵の上」「六条の御息所」「紫の上」「末摘花」「朧月夜」「花散里」「明石の君」「玉鬘」「女三の宮」「源典侍」という源氏自身と関係があった女性たちの他、「雲居雁」「大君」「浮船」の3名も取り上げられているので、源氏に愛された、と言うよりは、「源氏に出てくる主要な女性」について語られた中身になっている。
特徴的なのは、古典的な解釈について各自の研究成果‥‥つまり学問としての講釈を述べあっているのではなく、登場する女人について、瀬戸内氏とゲストが、それぞれの思う所を何の制約もなしに自由な発想で意見交換しているという点だ。
これはつまりどうゆう事かと言うと、本書を単なる対談集と思ってはいけない、という事になる。なぜならば、後に発表された瀬戸内源氏を理解するための重要な要素が数多く含まれているからだ。
瀬戸内源氏は、与謝野源氏、円地源氏などを代表とする多くの作家が取り組んだ全文訳と同列に並べ、単なる原典訳だと考えるのは少々危険だ、という意見がある。この意見は、瀬戸内源氏の作品や完成度の賛否を問うものではなく、瀬戸内源氏を原典訳と捉えるべきかどうか、という点についての各自の見解だ。
なぜこのような意見が出るのかと言うと、瀬戸内源氏は、通常の原典訳とは少々性質が異なり、訳者の思想が文中に繁栄された全く新しいタイプの訳本になっているからである。
このことについて、この場を借りての私の意見は省略させて頂くが、少なくとも瀬戸内源氏が将来に渡って読み継がれていく源氏物語の1つになったことだけは確かである。
後世、瀬戸内源氏が単なる全文訳の1つに埋もれてしまうのか、全く新しいジャンルとしてその地位を確立していくのか、現時点では不明だが、訳者が原文を現代語へ変換する時、原典には説明のないエッセンスをどのような思考の元で肉付けしていったのかを理解する上でも、本書は最適な随筆になっている。 |
| |
|