六本木ヒルズのとあるフロアにて

 結論から言うと、偽ライカ同盟に加入いたしました。正式には「偽ライカ同盟共和国紐育支局東京事務所関西出張所・所員・ロボット・シュウ」ということになります。長くて覚えきれません(あまりにも長く、チョートクさんや私自身も覚えきれませんので、その日の気分で名称が変わります(笑))。この偽ライカ同盟には、田中長徳さんをはじめ、ロックバンド・アルフィーの坂崎幸之助さん、雅楽奏者の東儀秀樹さん、作家の片岡義男さんなどなど蒼々たるメンバーがおられますし、「オレは今日から偽ライカ同盟員だ!」 と名乗れば(名乗らなくとも思うだけでも)、そのときから誰でも入れるという素晴らしく懐の広い同盟なので、同盟員は世界中でたぶん1億人はくだらないでしょう。そんな寛大な「偽ライカ同盟」の末席の末席、紐育支局東京事務所の関西出張所(この出張所という響きが好きです)の所員として私も加入したのです。

 事の起こりは、先月の中頃。Screwworldの佐藤氏から届いた1通のメールからでした。件名がいきなり
「佐藤です。至急!」
と内容も分からない切迫ぶり。読んでみると、佐藤氏と昵懇にされているN.Y.在住の建築デザイナー・タキウラさんが仕事でN.Y.を訪れていた田中長徳さん(以下チョートクさん)と意気投合されたらしく、タキウラさんが持っていたロボット→ライカアダプターの話でScrewworldの話になり、
「そのページは前から知ってるよ。ロボットコレクターだからね。BBSも見てるよ」
「一度お会いしたいですね」
とチョートクさんがおっしゃってるので、「いつ東京に来れますか?都合の良い日を教えてください。こんな機会は滅多にありませんので、是非来てください!」という内容でした。これは確かに至急ですよね(笑)。ホント、ビックリしました。

 と言うわけで、話がトントン拍子に進み、2005年5月15日、私は仕事以外で東京に行くのは3回目という大阪で生まれたオトコなのですが、朝8時半発のぞみ44号東京行きの乗客になったというわけです。


これが文中後半で出てくる謎のレンズ、ボルカ-1(もしくは11)です。工作精度は良いのですが、限りなく試作品っぽい匂いがプンプンしております。絞りリングが、正面からでも上からでも数値が正像で読めるよう両方に振ってあり、リング形状もどちらからでもちゃんと分かるようになってますね。エルマー5cmの試作品にも似たものがありました。とにかく、謎のレンズなのです。

 東京ステーションホテルのロビーで11時過ぎに佐藤氏と合流。軽い昼食を取りながら作戦会議(と言っても、お互いに持ってきたカメラ&レンズの見せ合いでしたが(笑))をすませ、いざチョートクさんがおられる六本木ヒルズへ。ほとんど緊張はしてなかったのですが、突然降って湧いた話だったので、一体何を話したらよいのか…。相手は百戦錬磨の有名写真家さんだし、どうしようか…。いろいろと無いアタマを回転させつつ高層階のフロアへ。

 初対面の印象は…、失礼ながら「本とかで見かけるいつものジャンパーだ…」でした(爆)。チョートクさん、ゴメンナサイ。そんな事を考えておりました(笑)。落ち着いたロビー風のフロアに着席するなり、
「まずは、見せたいカメラがあるんです!」
と持ってこられたのが、エプソンのライカマウントデジカメ「R-D1」に、アダプターやスペーサーを挿んで装着されたロボット用テッサー30mmF2.8!いきなりの先制パンチに、アダプター陣営である私たちは思わず
「おぉ!」
とうなり声を上げてしまいました。それもロボットレンズを付けてこられるところがニクい。気を遣ってらっしゃる(笑)。そのセットを見ただけで、私はヤラレてしまいました。

 こちらも負けじと色々と持っていってたのですが、相手はチョートクさんですから、たぶん何を見せても驚かれないだろうと思いつつ、私はペンFライカスクリューマウント改造ボディ(これはScrewworldの製品です)にアルパ・マクロスイターを装着して無限遠から最短まで使えるセット、N.Y.のゴールデンタッチチューンのライカM3、それにロボット→ライカアダプターセットのロボット用シュナイダー・ラジオナー38mmF2.8を出し、佐藤氏はスナップベースN.Y.のゴールデンタッチチューンのライカDIII、それにパクセッテ→ライカアダプターセットのパクセッテ用イスコ50mmなどなど、これでもかと出してみました。
 チョートクさんは、それでも楽しそうに色々な話を交えながら面白い話やここでは書けない話などをしていただき、さらには、チョートクさんの話だけではなく、佐藤氏とタキウラさんの話や私の本業の話(ビックリするぐらいよくご存じでした)にまで話題が飛び火し、
「昨日、甲子園でプロ野球を取材していた現役カメラマンが持ってくるカメラやレンズじゃないよ!」
「まさか、このペンFで仕事してるんじゃないよね〜(笑)」
とのチョートクさんの発言に一同大爆笑。あっという間に時間は過ぎていったのです。

謎のボルカ-1(もしくは11)を、R-D1にペンFライカマウントに付けてきた私のマクロスイター+ライカL距離非連動アダプターを装着し、目測で近接撮影するチョートクさん。目測で近接は至難の業ですが、こんな時にR-D1は威力を発揮します。何度でも撮り直し自由ですからね。
左は、会談を終え「プロ野球の入団発表みたいだ」と笑いながら握手するチョートクさんと私(笑)。今考えると、この握手が「偽ライカ同盟入り発表」の作り写真だったのです。

 会談も中盤にさしかかり、ここぞとばかりに持参した最終兵器、アルパの試作機「ボルカ」用であろう「ボルカ-1(もしくは11)アナスティグマット50mmF2.8」というレンズをぶつけてみました。このレンズ、手に入れた時から全くの謎レンズで、前所有者はボルカ用と言ってたのですが、マウントが同じ(はず)のアルパレフレックスなどに装着出来ないのです。マウント形状は同じなのですが、バヨネット部分の羽根の厚みが極端に薄く、装着してもグラグラで固定できないというシロモノなのです。最終兵器と書きましたが、そんなことよりも「謎」解きしてもらえるのではと期待して持ってきたのです。

 このレンズを見るなり
「おぉ……」
と沈黙されたチョートクさん。色々といきさつを説明するも、結局残念ながら生い立ちなどは謎のまま終わってしまいました。しかし、
「こんなレンズ見たこと無いから、大事にした方がいいですよ。試作品かもしれないし」
とおっしゃってもらったので、ホッと一安心。
「でも、写りが気になりますよね。勿体ない話です。ホント、撮ってみたいですよ〜」
と言うと、
「そんなときの為にこれがあるんじゃないっ!」
とおもむろにエプソンR-D1を指さされ、ボルカをマウントにあてがい、指で押さえつつ沈胴を前後させたりレンズをマウントから浮かしたりしてパシパシ撮り始められました。そうか!そんな手があったのか。以前からR-D1には少し否定的だった私ですが、このことから一気に気持ちが傾いてしまいました(笑)。
「こんな感じかな?」
と、だいたいピントが合う位置が分かり、絞りを絞って窓から撮った東京の風景が下の写真です。その場でチョートクさんのPowerBookG4で画像を開いて、画面を凝視する3人。
「すごくシャープですね!」(私)
「ホントだ、スゴイ!」(佐藤氏)
「見かけによらず、とてもよく写るレンズみたいですね」(チョートクさん)
3人とも、 しばし画面を見たままある種の感動(?)を感じてたのではないでしょうか。少なくとも、私は感動してました(笑)。R-D1ならその場でピントも確認しながら撮れるということもさることながら、すぐにそれに気付くチョートクさんの機転の良さ、なによりも、今まで謎だったレンズがそのベールを脱いで少しだけでもその実力を見せてくれたことに、なんとも言えない感動を感じたのです。


写真をクリックで、ラージイメージが見れます

チョートクさんがボルカ-1(もしくは11)をR-D1のマウントに押さえつけて、沈胴を行ったり来たりさせながら撮影した六本木ヒルズからの東京遠景。絞りはf8ぐらいです。ガラス越しですが、見事にシャープ。こんなに良く写るとは…。無加工でデータが送られてきましたので、若干フォトショップにてコントラストを上げております。ガラスの反射の他に、空に黒い斑点が見えますが、これはCCDのゴミだそうです。右は、上にあったマクロスイターでの撮影風景の時のカット。ボルカレンズです。

「このレンズ、今日のブログで使えそうだから撮っていい?」
と言われ、その場でペンFライカスクリューマウント改造ボディに付けてきたマクロスイターを付けて、ボルカの写真を撮られていました(上記写真参照)。

  楽しい時間は「アッ」という間に過ぎるもので、すでに時間は15時少し前。毎日書かれてるブログで「ここ数日は締め切りの土石流」と書かれていたにも関わらず2時間も使っていただきました。おのぼりさんみたいで格好悪かったのですが、
「ぜひ記念写真を…」
とお願いして、佐藤氏と交互に携帯のデジカメ(笑)でツーショット撮影会。
「佐藤さんは東京営業所ですから、今日からロボット・シュウさんは「偽ライカ同盟共和国紐育支局東京事務所関西出張所」ですね」
と言われ、その「出張所」という響きが妙にしっくりときたので、そのまま即断で同盟入りし、ツーショット写真ではがっちりと握手まで交わしてしまう厚かましさを発揮(爆)。チョートクさんは、
「またお会い出来る日を楽しみにしております」
の一言を残して、土石流のまっただ中へ戻っていかれました。

 六本木ヒルズの雑踏をあとにして、佐藤氏と一緒に新宿の中古カメラ屋巡りへ。突然の激しい雷雨に見舞われ(この雷雨で、チョートクさんのブログの写真がボルカから虹の写真に差し替え(笑))ましたが、今日のこの日の記念となる「フォクトレンダー単独距離計」を8400円にてゲット。出張所員の「目」となることを祈りつつ、約7時間の滞在を終え大阪に帰りました。

 以上が、さる5月15日にあった重大事でした。このHPを立ち上げてから、たぶん一番大きな出来事だったのではないでしょうか。これからは、「偽ラ…(長いので割愛)…出張所所員」として、ヘタくそで楽しい写真道をフラフラ進みたいと思っております。

 チョートクさん、またお会いできる日を楽しみにしております!

5.15の記念に、新宿の中古カメラ市場でゲットしたフォクトレンダー製の単独距離計。カメラは独製のアルティックス5。付いているトリオプラン50mmF2.8の写りに興味があったので前にゲットしたのですが、5cmでの目測は自信が無かったのでそのまま手つかずに。フォクトレンダーの距離計は、買うときにイメージしたとおり、アルティックスのデザインに見事にマッチ。最高の相棒になりそうです。シロクマくんも、そのあつらえたかのような見栄えに思わず笑顔をこぼしております。