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Carl Zeiss Jena Tessar 28mm F8

 ピンホールカメラというのがあります。もともと写真が発明されるキッカケとなったのがピンホールであることはみなさんご存じでしょう。暗い部屋の壁に小さな穴を開けると、穴と反対側の壁に外の風景が上下左右逆さまに映るのですが、それを小型にしたのがピンホールカメラで、木箱の一辺にほんの小さな針穴を開けて、反対側にフィルムを貼り付け露光させるのです。開ける針穴は出来るだけ小さく真円状がベストです。レンズを通した光と比べると、ピントも甘く、全体にぼやっとした像を結びますが、レンズでは出せない雰囲気が好まれ、近年でもポラロイドのピンホールカメラが出たりもしております。

 このレンズを見たとき、レンズ無いと思ってしまいました(笑)。それぐらいレンズが小さいのです。まるでピンホールレンズです。開放F値も現代のレンズでは考えられないF8です。開放ですよ、開放がF8。こんなレンズ今の時代に発売したら、絶対にリコールです(笑)。
 ただ、このレンズが作られた頃は広角と言えば35mmで、この28mmという画角は超広角として、世界的なセンセーショナルをおこしたのです。開放が暗いなんて問題にならないぐらい、画期的なレンズだったのです。作ったのは世界の光学メーカー、カールツァイス。さすがツァイスといったところでしょうか。テッサータイプですので、信じられませんがこの小ささで3群4枚ものレンズが入っております。

 銅鏡デザインはとても薄く、トポゴン25mmにも通じるすり鉢状のレンズ周りが格好良いのです。コンタックス用ですが元々距離計には連動せず目測でしか使えません。ただし、目測仕様にも関わらず被写界深度目盛りが無いので、使うには結構慣れが必要です。

 さて、肝心の写りですが、これがこんな小さなレンズからは想像も出来ないぐらいとてもシャープで線が細く驚いてしまいます。周辺光量は落ちるのですが、元々開放でもF8ですのでちょっと絞ればさほど気になりません。さすがはテッサー。さすがはツァイス。
 このレンズが出た当時、ライツでは広角レンズを作る技術がなく、もっとも広角でエルマー35mmF3.5でした。そんな中、いきなり28mmのレンズを出してくるあたり、世界最大の光学メーカーの意地が見え隠れしまますね。

 見かけはレンズがとても小さくピンホールレンズのようですが、中身は実力のツァイス、とてもシャープで素晴らしいレンズでした。


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Nippon-Kogaku W-Nikkor.C 28mm F3.5
 日本が誇る世界のニコン。私が写真を始めた高校1年の時は、ニコンと言えば、押しも押されぬ憧れの的でした。ちょうどF3とEMが出てた時代で、あのF3のグリップ部分にある赤ラインにたまらなくしびれたのを、今のように思い出します。その後、大学の写真学科に進学して、友人からニコンセットをもらい受け(F3とF2でした)、ニコンで課題を撮っていたのですが、現在の会社に入ってみると会社の機材はキヤノンだったので、それ以降ニコンとは縁がありませんでした。

 と、前ふりが長くなりましたが、ここにきて自分がニッコールを使うとは思っても見ませんでした。コンタックスと同じマウント(厳密には違いますが)を持つニコンSシリーズを友人に触らせてもらったのが運の尽きで、それ以来ず〜っとニコンS2が気になって気になって(笑)。で、S2購入と共に入手したのがこのSマウント唯一の28mm、W-Nikkor.C28mmだったのでした。

 レンズの作りは、さすがにニコン。とても精密で各部の動きも節度あるしっかりしたものですね。入手したレンズの程度が良かったのも幸いして、所有する喜びを与えてくれるレンズの1本になりました。また、広角ならコンタックスのボディでも使えますので、いろいろと使い道はありそうです。
 肝心の写りなのですが、これまたさすがにニッコールと唸らせる、とてもシャープで線の細い描写をしてくれました。開放ではほんの少し周辺画像がアヤシイのと、周辺光量落ちは否めませんが、それでも5.6以上に絞ってやると、どこまでもピントがきてるような錯覚に陥るようなカチッとした写りを見せてくれます。まぁ、個人的には「写りすぎるレンズやなぁ」と思ったりもしますが、まっとうな写真家や正道を行くフォトグラファーにとっては、なかなかに良い玉だと思わせるだけの実力は持っていると思います。
 発色はあまり派手ではありませんが階調はそこそこありますので、モノクロでは威力を発揮するかと思います。

 今となっては不思議なのですが、数多くラインナップされたSマウントのニッコールの中で、28mmレンズはこの1本だけなのです(バージョン違いはありますが、さほど変わってません)。何故、天下のニコンが、長いSマウントの歴史の中で28mmに関してはこの1本ですませたのか?確かによく出来たレンズではあると思いますが、ライバル会社のキヤノンでは、28mmはF2.8とF3.5の2本をラインナップしていることから、ニコンもそれに追従してもおかしくはなかったと思います。

 そういう謎を抱えたレンズなのですが、写りを見ればとてもシャープで破綻のない写りに、たぶん当時の開発者たちは、「これで大丈夫」と思ったのではないかという、うがった想像を膨らませてしまいました。
 それぐらい、現代のレンズと比べても遜色のない良い写りを見せてくれるレンズなのでした。




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